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「あ、香奈今日バイト?」
帰り際に鞠亜から声をかけられ私は頷く。
「5時から10時までバイトー。行きたくない…」
「まあまあ。がんばんなって。じゃばいばい」
ああみえて家庭的な鞠亜は生活部に所属。
将来は料理関係の仕事につきたいと言っていた。
羨ましくもあり憎くも感じる夢という言葉。
稼ぐことに必死で、私は将来がどうだとか考えられないからかもしれない。
「…バイトっていうのも嘘だしね」
バイトよりも効率のよい夜のお仕事。
バイトで何十万も稼げるのならそうしてる。
けれど、高校生で稼げる量なんて馬鹿げてるのだ。
お金のためだけに体を売る最低な女。
だれかに必要とされたくて…それでもお金が第一で。
俗にいう「援助交際」
に頼っていた。
怖くないはずがない。
高校生の私が、メールアドレスしか知らない男と過ごす日々。
震えが止まらない。
その震える手で私は、田中という男に会う準備を整えた。
これが私の日常。
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