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横になると頭だけが冴え渡り、嫌な記憶はより鮮明な映像となって真生の心を蝕んだ。 動けるのだから家事でもしていた方がましだと、源三郎が止めるのも聞かず部屋を逃げ出す。 捕まえられて押し問答を繰り広げ今に至るが、誰よりも手強い相手と遭遇し決心はみるまに萎んでいった。 「真生、せやったら俺等と話さへん? いきなり動いてもようないで。」 烝が救いの手を差し伸べ、源三郎はそれぐらいならと制止を緩める。 しかし総司は布団の上に上体を起こし、真生が自分へ近付くのを拒んだ。 寂しそうに俯く彼女の頭上へ、歳三は静かな怒りを注ぐ。
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