短編

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「フラレた。」 彼が吐き出した言葉は嫌に鮮明に、鮮やかに私の耳に届いた。 彼とは幼馴染みで、私は恋の相談をよく聞いていた。ぶっちゃけ、それは自殺行為に等しかった。 何故なら私の思い人は彼だったからだ。 ひたすらに、隠して隠して閉じ込めることでしか彼の隣にいられないならばそれでいいと思っていた。 もういっそ嫌いになれればいい、そんなこと何度思ったかしれない。 でも、出来なかった。涙を流して、それでも思い浮かぶのは大好きな君の笑顔ばかり。 君がフラれて悲しんでいるというのに私は酷い女だ。もう嬉しそうに想い人の話をする君の姿なんて見ていたくなかった。否見ていられなかった。 「だけどさ、全然悲しくねぇの。」 彼からの言葉は私の耳を風のように駆け抜けて、届かない。 は?思わず口からこぼれた言葉は彼に吸い込まれて消えた。 「本当はさ、告白出来なかったんだ。思い出すのはお前の顔ばかりで…」 いつも傍にいたのは、君でした。(もう、間違えたりしない)
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