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「人はいつか死ぬのによくそんなに頑張れるよな」
俺の小さな独り言をどうやら聞き取ったらしい。彼女は高い位置で結んだ髪を靡かせて、勢いよく振り向いた。
「つまんなそーな顔してるね」
そう言って笑った。それはそれは無邪気で、子供みたいな笑い方だった。
「俺は何で生きてるんだ」
小さな小さな独り言。彼女はゆっくりと振り向いて言った。
「貴方にここにいて欲しい人がいるじゃない?…例えば、私とか」
「人はね、いつか死ぬことが分かってるから頑張れるの」
靡いた髪はもう無くて。
だけど彼女の薫りがずっとずっと残ってた。
多分、生まれ変わっても。
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