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目の前で聖が持ってきた弁当を広げている。
俯くと、柔らかな黒い髪の毛も一緒になって、下にながれ、長いまつげに触れる。
そんな姿をじっと見ていると、聖は、ぱっと顔を上げこちらを向く。
ちょっと前髪伸びた‥
顔を上げると一緒に前髪が跳ね、そして、聖の大きな目を覆う。邪魔そうなのに気にしない、聖の無関心さ。そんなところがほっとけなくて、気がつくと惹かれていた。
俺は右手を伸ばし、聖の瞳にかかった前髪を左へと流す。
昔は、触ろうとすると心底嫌な顔を向けてきたが、最近は少し変わった。俺が手を伸ばすと、キュッと目をつぶるが、嫌がらない。そしてほんのり頬を染める。
そんな聖を見て口元がゆるむ。ふっと笑いがこぼれる。
「どうかしたか、聖。」
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