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「先生、弁当食べられないんですか?」
またいつもの無表情の顔に変わった聖は、俺の前を指さして言う。
「あっ買ってくるの忘れた!」
あのメールのせいだ
「悪い、先食べてて。今から食堂で買ってくる。」
俺が立ち上がりドアへ駆け寄ろうとしたとき、白衣の裾を引っ張られ足止めを食らう。
振り返ると聖が俺を見上げていた。俺はこの仕草に弱い。
「ど、どうした」
自分で面白いくらい動転して声がうわずる。
「俺も一緒に行きます。」
思いもよらない言葉に、喜びの声を上げそうなった‥が
待て待て待て待て‥俺
やはり一昨日のメールが頭を過ぎる。
もしかすると、あのメールの差出人はこの学校にいるかもしれない‥こんな状況で、聖を連れて出歩くのは‥
まずい!
「いや、いい!」
俺は聖の顔の前に手のひらを向ける。
「すぐ戻るから、先に食べてな。お前食べるの遅いんだから」
そう言って、聖の頭をぽんぽんと撫で、部屋を後にした。
聖を危険な目に遭わせたくない‥
俺は必死だった。
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