11月26日(金)

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「どうした。忘れ物か?」 聖はコクリと頷く。そして自分の机の前に行くと、荷物かけにひっかけていた弁当箱を取る。 俺はその様子を見届け、 「もう暗いから、気をつけて帰れよ。」 と事務的な挨拶をする。 聖は小さく頷いて、教室を出て行った。 きっと気づいてなんかいないだろうな‥ 俺が、あいつに触れたくて仕方ないこと、思いっきり抱きしめたいこと、好きだよと伝えたいこと、お前は知らないんだろう。 悔しいし、ムカつく‥ 未だ俺のこの気持ちは、聖に向けて一方通行か‥ 両肘を机につき、手のひらへ額を当てる。
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