魔の12月

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気付くと 僕はもう走り出していた (そんなはずない…  そんなはずない!) 人込みをかき分けた先に 答えはあった 見間違うはずもない 数年来、毎日にらみ合ってきた 僕の希望とも呼べる産物… その完成型、 そして、自慢げに 記者の取材に応じる 悪魔の姿があった 「その設計図は僕の成果だ!  あなたは一体  何をしてるんだ!?」 一瞬で辺りは静まり返った。 その場には数十の目があったが 僕の二つだけが 真実をとらえていた。 明らかにヤツは一瞬 動揺を見せた。 が、すぐに切り返して言った 「君は何を言ってるんだ?  研究のしすぎで頭が  おかしくなったのか?」 プチンッ… もう周りは見えていなかった ただヤツを殴りたかった しかし、行く手を阻む 青い服を着た2人の 兵士に捕まった 「そんな汚い幸せ  掴んでどうすんだよ!?」 力一杯叫んでやったが ヤツはどんどん遠ざかっていく 周りの記者も 犯罪者でも見るような視線 を送ってきた。 もう抵抗する気力もなかった おとなしく していたからだろうか、 人込みから 少し離れた所まで引きずられ、 そこで捨てられた 「研究もほどほどにな…」 そう言い残して また悪魔の城へ戻って行った 「もう今日は帰ろう…」 重い足を引きずりながら その場を去った
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