地球を救う者

4/7
前へ
/44ページ
次へ
そこに立っていたのは 5年前に別れた彼女だった 「玲子!?なぜ君が…?」 「彼女には私の助手をして  もらっている。  君との過去を聞いて驚いた。  彼女には全て話してある  何か力になってもらえるか  と思ってね」 相変わらず 地べたに座りながら言った 彼女が来たところで 状況は何もかわらない はずだった… しかし、僕を惑わせる 一言を言い放った 「私、本当は誠のこと  好きだったよ?  研究、研究で  構ってくれなくなったから  あんな言い方して  別れたんだ…  今でも…後悔してる…」 そう言って泣き出した 女の涙はずるい 真実を狂わせ、わからなくする 僕の心も揺さぶられ始めた 「今更何言ってんの!?  もうやめてくれ!!」 「そうだよね…無理だよね…」 「第一、僕がここから  出たところで  何も変わらないでしょ?」 その一言は負けを意味していた 「私、まだ死にたくない  やれるだけやってよ…」 三年間ほとんど人と 関わってこなかったから だろうか、 涙ぐんだ目で 真っ直ぐ見つめられると 耐えられなかった 「意味ないと思うけど  やれることやってみようか」 「ありがとう!!!」 そう言って飛びついてきた 今、僕の見えないところで 玲子は薄ら笑いを 浮かべているのではないか と疑わずにはいられなかった 彼女一人にやられてしまった 男は女に弱い いつの時代も同じだな 「では、仮釈放の手続きを  しますかな」 バタンッ 川島博士が部屋を出た
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加