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月明かりを頼りに走っていると前方にいくつも黒い物が横たわっている。しかしハイドはそれが何か凝視せずとも大体の見当はついていた。死体だ。今にも吐き出しそうになるこの血生臭いニオイがそう伝える。
(うぅ、帰りたい……)
魔物がこの村を襲うことは滅多にない。この辺りには魔物の嫌うニオイが発生する草があり、それで寄って来ないらしい。そういうことで魔物を見る機会がなかったのもあったので、自分の言葉をレントンに伝えるついでに魔物を見物しようという好奇心が生まれた。そしてその好奇心はハイドの知性及び理性を狂わせたのだった。
と、前方にランタンの灯りが灯っている。よく見るとレントンが魔物と応戦中だ。
「父さん!今助ける!!」
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