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(くっ、やっぱりこんな物じゃ無理か!)
攻撃を回避し、相手の懐に入り攻撃してもキズが付くか付かないかという程度である。
「父さん!」
魔物の背後で木の棒を持ったハイドが魔物を殴る。
ボキッ
一瞬にして折れた棒。魔物はハイドの方を向いた。
「何やってんだ!逃げろ!ハイドッ!!」
叫ぶレントンだが、ハイドは腰が抜けたらしく逃げられない。そんなことはお構い無しに魔物がハイドを襲う。
ブシュゥッ!!!!
生温かい液体がハイドの顔を覆う。
「父……さん……」
目の前で自分を庇っているレントン。それが理解できなかった。
「父さん!父さん!父さぁん!」
気が狂った様に叫ぶハイド。
「早く……逃げ……ろ」
『ぷりゅぅうぅぅ!』
魔物は悲しむ間も与えずまた襲いかかる。今度こそダメだっ!そう思い強く目を閉じた。しかし一向にくる感じがしない。恐る恐る目を開くとそこには倒れている魔物とその横に人影があった。
「誰……だ?」
震えながら問うハイド。
「そんな質問より父の方を心配しろ。」
声色ひとつ変えずに男がそう言った。それでやっと父の心配を再開した。
「父さん!」
「すまねぇ……な。もう……無理……だ……」
「今医者呼んでくるから!」
この場から離れようとすると力がないけど掴まれた。
「もう……いい。」
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