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「でもっ!!」
ハイドは泣き出しそうな顔に少しなっている。
「お前が来なくても……どのみち……こういう結末だった。だから……気にするな……」
「父さんっ!!」
満杯だった風呂にふくよかな人が入った時の様にハイドの目から涙が溢れた。
そんなハイドを横目にレントンは立っていた男に顔を向けた。
「そこの……御方。」
「何だ?」
感情など全く籠っていない物言いの男。
「息子を……コイツを……頼む!」
目を強く閉じ首を少し下に動かすレントン。
「……承知した。」
男も目を閉じ、うなずいた。
「ありがとう……」
そう言ってレントンはゆっくりとまぶたを閉じた。
「……ちょっと待てよ!僕への別れの挨拶なしかよっ!!」
ハイドがレントンの首もとを握り身体を揺さぶる。
「止めろ。もう死んでいる。」
男は冷たくハイドに言う。
「チキショー!」
そんなことはお構い無しにハイドは往復ビンタをレントンにかます。
「止めろ。死者への冒涜はいかん。」
男はちょっと動揺を隠せなくなってきているらしい。声にそれが伺えた。
「クソが~!!」
ついにはマウントポジションになりレントンに拳を次々と繰り出すハイド。
「止めてあげて!お父さん可哀想!!」
冷静沈着であった男も数あるハイドの諸行に堪えきれなくなったのであった。
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