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 「何でぼくの名前知ってるんですか?」  「…知ってるも何も…」  彼はそこで言葉を切り、ジュースを飲み干した。空になった缶がぼくの頭のすぐ脇に置かれた。  「……小学校の時一緒のクラスだっただろ。まあ、あまり付き合いがなかったから、覚えていなくても無理はないけど」  ぼくは起き上がって彼の隣に座り直し、真正面から彼の顔を見た。自動的に頭の中でその顔をサーチすると、驚く早さで思い出された。  「――…あっ! もしかして、木菅君!?」  それは、小学校4年生の時。  普段一匹狼で人を寄せ付けないオーラを醸していたので、ぼくは自ら近づこうとは思わなかった彼が、ぼくがいじめにあっていたところを助けてくれたのだ。人を助けるなどしなさそうに見えた彼の、意外な一面にクラスの皆が驚いた。ぼくは嬉しくなって彼と仲良くなろうとしたが、彼は人を撥ね付けるような態度ばかりを取るから、関係はそのまま進展しなかった。  「…ああ、そうだよ。完全に忘れ去られてたみたいだけどな」  「ごめん……でも、木菅君、昔と少し雰囲気が変わったし……、何だか、より男らしくなったね。言われるまで木菅君だと気付かなかった」  「そういうお前は昔と全然変わってねぇけどな」  「うっ…」
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