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--アァァァァ--
「な……に……!?」
鳥獣。
かつてこの村を守護していたモノ。
神鳥と崇められていたモノ。
……以前は、私と通じ合っていたモノ。
もっともそんなことは、私しか知らないだろうけれど。
私の隣に、舞い降りる。
絶句している面々を余所に、私はそれに飛び乗る。
何処まで行けるだろうか。
まあいい。
どうせ誰も追い付けない。
なるべく遠くまで。
はやくこんな所から離れたい。
それに、意思の強い獣を操るのは、凄く精神力を使うから。
さあ、南へ行こう。
暖かい場所に!
「--行けっ!!」
どのくらいぶりだろうか、久々に出した本当の声は、高く響き渡った。
鳥獣は雄々しく叫びをあげ、飛び出した。
人間からすれば、あり得ないスピード。
皆、さぞ驚いていることだろう。
「……ふふ、ふ、あは、は、は、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
何故だか、笑いが止まらない。
楽しくもないはずなのに。
何故、笑いが込み上げて来るのだろう。
まあいい。
これから私は自由だ。
自由なんだから。
「さあ、もっと速く!」
今の私は、奴隷としての無茶な労働のせいでくたくただ。
精神も疲労しきっている。
考えてみれば、恐らく数ヵ月程度。
数年にも感じていたけれど。
さあ、なるべく急がないと。
こんな状態では、何時まで操っていられるかも分からない。
途中で支配が切れて落とされないように、気をつけなければ。
それにしても……どのくらい飛べば良いのだろう。
どのくらい行けば良いのだろう。
分からない。
こんなにも村から離れるのは初めてだ。
取り合えず、大陸の端まで行けるだろうか。
後は何とかなるだろう。
後どのくらいで着くのか。
大分、暖かくなってきた。
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