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「生理が遅れてるの」 年が明けた頃、生理が遅れていることを颯に告げた。 時々周期が乱れたりすることはあったが、大幅に遅れたのは始めてだった。 そのほかにも、いつにも増して胸が張り常に眠気を感じる。 「ほんとに!?」 目を丸くして驚いたあと、それは嬉しそうにはしゃぐ颯を見て、私も嬉しくてしかたがなかった。 「パパですよ~」なんて言いながら颯は私のお腹に話しかける。 「まだ早いよ~」 確認すらしていないのに、気持ちだけが盛り上がり出す。 検査に行く前に、お母様に嬉しい報告ができるかもしれない。 期待で胸が高鳴る。 男の子ならこんな名前がいいとか、女の子ならどんな習い事をさせたいとか、 未来の話を夜通しした。 「早く母さんに知らせてやりたいよ。これでもう何も言わせないよ」 颯がどれほど子供を待ち望んでいたのか、 なかなか子供のできない私をかばい、周囲のプレッシャーに堪えてきていたのか、 はじめて知った気がした。 .
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