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数日後、颯には言わずに検査を受けた。 心配は見事に的中し、妊娠をしない原因は私にあった。 卵管に異常がみつかった。 妊娠する可能性はほぼ0%だとはっきり言われてしまった。 この世の終わりのような、真っ暗な世界に独りぼっちになったような、 そんな気持ちになる。 私は、 子供を産まなければいけないのに。 産めない私は、 嫁失格だ。 颯の隣にいられない。 「どうして……どうして……」 本当は心のどこかで『私は大丈夫だろう』と思っていた。 タイミングが悪いんだと、ずっとそう信じていたかった。 颯の悲しい顔を見ることが、 お母様に責められることが、 そして何より颯のそばにいられなくなることが 怖くてたまらない。 颯のせいなら良かったのに。 颯のせいなら……。 そしたらあたしは 悪くないのに。 あなたのせいなら良かったのに。 そんなことを思う私は、 最低だ。 .
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