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「私も、抱いていいかな」
いまだ泣き止まない奈々葉ちゃんが、律子の腕から私に渡された。
「赤ちゃんって柔らかいね。いい匂い」
ミルクの匂い。
「私も、欲しかったなあ。赤ちゃん」
この腕で、
抱きしめたかった。
目を閉じると、大粒の涙が頬を濡らしていく。
「きゃあ、きゃ」
瞼をあけると、目の前には笑顔の奈々葉ちゃんがいた。
「ねえ、笑ってるよ、律子」
律子は私を見つめながら、私以上に泣いていた。
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