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「子供のこと、母さんに何か言われたの?」 あっという間に確信を突かれてしまった。 「違う。子供は関係ない!」 とっさに強く否定してしまい、颯の疑問は確信へと変わる。 「気にしなくていいって言ったろ?自然に任せていれば、そのうちできるから」 そのうちできる。 「でき……ないよ」 張り詰めていた糸がブレる。 「あたしは、赤ちゃんできないんだもん」 プツンと、糸が切れる音が聞こえた。 せきを切ったように涙が溢れ、しゃくりあげることしかできない。 「どういうことだよ?」 颯は私の肩を掴むと、前後に揺らした。 「私は子供ができないの!!」 青白い顔をする颯を突き飛ばし、私は家を飛び出した。 行くところなんてない。 「うあぁぁぁ!」 夜空に泣き叫んでみても、 空は何も答えてはくれなかった。 .
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