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飛び出してしまったものの、行く当てがない。 街の灯りが消えて暗くなった道にポツンと佇んでいると、この世界にただ一人取り残されているようだ。 今晩はとりあえず実家に帰ることにした。 泣き腫らした顔で帰宅した私を、両親は何も聞かずに向かい入れてくれた。 どうして言ってしまったのだろうか。 後悔してもしきれないほどの大きな失敗だ。 知らせずに別れることのほうが、傷つかずに済む。 伝えてしまったこの状態で颯が離婚を認めたら、 私は子供を産めないからいらない女、というレッテルを貼られてしまう気がした。 私は、自分を守りたかった。 自分自分自分。 私はいつも自分のことばかりだ。 情けなくて、涙が止まらなかった。 私は颯に相応しくない。 颯には私なんかよりももっともっと素敵な女性が似合う。 だって私は 颯のせいなら良かったと、 強く願ってしまうような女だから。 .
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