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「香純ちゃん、早く~」 私の手を引いて走りまわる菜々葉ちゃん。 あれから数年。 律子の愛娘の菜々葉ちゃんも、だいぶ大きくなった。 「次はあれに乗りたいの」 12月になり、寒さも本格的になったというのに、 菜々葉ちゃんは元気にあっちこっちと遊園地内を走り回る。 「そんなに走らないの!」と律子。 私はもう、律子を僻んだりはしていない。 こうして3人で遊園地に来ることができる。 親友の大切な子供の成長を、間近で見ていられる。 律子に感謝したい。 私は今も颯と2人で暮らしている。 颯に守られ支えられ、時には喧嘩をして、時々泣いて。 私は幸せ過ぎるくらいだ。 それでも、思う。 もしも子供がいたのなら、また別の幸せがあったのだろうかと。 .
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