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「どうしよう。どっちも可愛いよ~」
ふたつの洋服を手に取り、私はうなり声を出す。
「どっちでも似合うよ」と、颯はいつもの笑顔。
私たちの可愛い子供のパルちゃんの洋服選び。
「パルちゃん、どっちがいい?」
「パルに訊いてもわからないよ」
颯の胸に抱かれたパルは、顔を右に向けて「ワン」と吠えた。
私たちは目を合わせて笑った。
私には、私の幸せがある。
他人から見たら、子供のできない可哀想な夫婦かもしれないけれど、
私たちはこんなに幸せだ。
他人のことはよく見えてしまう。
良いところばかりが目立ち、嫌なところが見えないから。
私は思う。
幸せのカタチは人それぞれであって、比べるものではないと。
私は守りたい。
この幸せを
明日も、明後日も。
ずっと。
ずっと。
━幸せのカタチ━
完
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