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誰かが言っていた、『ときには過去に振り返ることも必要だ』と……。
え? 誰が言ってたかって?
これは多分、偉い人。
今日は前々からコメントやレビューで指摘のあった、誤字脱字を修正しようと教室に居残り中。
お馴染みの皆はおらず、もちろん誰一人教室にいない。たった一人の作業であります。
なんで一人かって? 俺だって一人になりたいときはあるよ。
ま、正直なことを言うと執筆作業をしてるとき、皆が自分達の遊びそっちのけで俺に気をつかってばっかになって、こっちが気疲れするからなんだけどね。
えっ? 甘えればいいじゃないだって?
正直、甘えにくいじゃない?
「さてさて~、目の保養も済んだし―」
窓際の席から外を眺め、部活中の陸上部監視(女子限定)を終わらせると、鞄からノートパソコンを取り出して開いた。
「サクッと、五ページくらい編集して部活に行きます……かぁ……って……アレレ?」
ポチ、ポチ、ポチっとな。
「…………」
ポチっとな。ポチっとな。
「…………」
むむむ……。これは一体どういうことだ?
これってやっぱり、マズイかな? マズイよな?
皆に相談したほうがいいかな?
だけど……相談した瞬間に殺されたりしないだろうか。
あー。しかし、こうなってしまったからには相談しないわけにもいかないだろう。
俺はせっかく出したパソコンを、再び畳んで鞄にしまうと、どんな言い訳をしようか考えながら部室に向かって歩きだした。
「ま、何とかなるかな……」
この物語はこんな風景から始まります。
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