向こう側

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向こう側

ぼくは、ハピに言われた通り、お母さんにゲージから出してもらうと、ピアノの前にいった。 ぼくは、黒いから、ピアノに映ると目ぐらいしか目立たない。 そいつにむかって、 《ハッピー!》 と、言ってみた。 けど、何も、起こらない。 《ダメですよ、ジジさん。‘ハッピー?’って、言わないと。》 《……、そこの問題なの?》《そうです!》 なぜか、ハピは言い切った。しょうがないから、ピアノに映るぼくに、 《ハッピー?》 って、聞いてみた。 そしたら、ピアノに映るぼくが、勝手に向こうに走りだしたんだ。 とても、楽しそうに。 ぼくは、突然眠くなって、眠ってしまった。
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