田舎道

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 ミドリは東京からの転校生だ。ふと、サトルは修学旅行で行った東京を思い出した。  どこもかしこもコンクリートかアスファルトで覆われていて、土のある場所といったら神社か公園くらいだった。きっと雨の日にスニーカーが泥で汚れる心配なんてしなくていいのだと思うと、いつか上京したいという思いを強く再認識する。  実際のところ決意するには理由が浅すぎる気もしたが、スニーカーが汚れないことはそれなりに価値がある気がした。 「お前今外いんの?」  雑音が多い。声が拡散している様に聞こえる。 『うん、よくわかったねー。なんか暇だったからさぁ、外出てみたの。そしたら人いないし車通らないし虫の声しかしないし』
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