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「退却だ!!」
有らん限りの声を上げる。どこまで伝わったか分からないが、自分の周りにいる連中だけにでも伝わればそれで良い。後は連鎖的にすぐに後方まで伝わるだろう。
「殿軍は俺がやる!他は城まで走り続けろっ!」
騎士を二百人率いて王都近くの山に現れた竜を討伐するためやって来たはいいが、目の前には目算で三十匹はいる竜。
一匹倒すのに五十人の騎士が必要と言われる竜。報告では多くとも三匹と言われていたのに。
「我が命、ここまでか」
目の前では雄叫びを上げる竜たち。一瞬、得意気に報告書を読み上げる諜報部のオッサンが頭を過ぎった。だが、すぐに消し去り目の前にいる竜の群れに集中する。
「団長!我らも共に……」
残った十人ほどの騎士たち。驚きはない。彼らは俺が団長になる以前からの付き合いだ。そこまでしてついて来てくれることに感謝する。
「はっ、終わったら酒でも飲みに行くかぁ!」
それを合図に全員で竜の群れへ突っ込む。
そして、俺は白い光に包まれた。
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