白のち城

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     目を開けて一番に気付いた事が、自分が白の世界にいることだった。  次に気付いた事が酷く身体が痛むこと。  最後に気付いた事が自分は竜の群と戦っていたこと。  そして、理解した。自分は黄泉の世界に誘(いざな)われたことに。 「存外、殺風景な場所だな」  掠れた、声にならない声をだす。  ここが黄泉の世界ならば、何をしていても良いはずだ。ならば、寝るに限る。 ――貴方は世界の救世主―― ――生まれる世界を間違えただけ―― ――貴方がいるべきだった世界に貴方を導きます――  遠くで声が聞こえた。神か。しかし、彼は睡眠を選んだ。次起きた時は傷が痛まぬことを望みながら。 ***  途中、少しだけ意識が戻った。大勢の人が話している。  何を言っているのか聞き耳を立てようかと思ったが意識はすぐに無くなった。 ***  目を開けると次は黒だった。  傷は腹に少し鈍痛を感じるがそれほどでもない。  目が慣れるとここが何処かの部屋だと分かった。  見渡すと自分が寝ているベッドの他にもベッドがある。  病室だとすぐに理解した。 「俺は……助かった……のか?」  手を顔の前に持って行き、軽く振る。異常は特にない。  ベッドを見る限り、寝ているのは自分だけ。他は全員死んだか、自分だけ、長く寝ていただけか。  身体をゆっくり起こす。  そこで気付いた。 「なんだ、この服?」  恐らく、病室に運び込まれたであろうから、自分が鎧を着ていないことは別段不自然ではない。  しかし、自分が今着ている服は見たことがない。  騎士という職業柄、訓練、任務等で怪我をすることは多々ある。  その中で二、三日入院するようなこともあった。だが、今自分が着ているような服を着させられたことはない。 「技術部の新しい発明品か?」
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