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同類だと思った。理屈抜きに、こいつは私の同類だと。そんな風に思うのは初めてのことだった。
私は引き寄せられるように、フラフラとそいつに近づく。そいつも同じようにフラフラと近づいて来る。
きっと今、私たちは同じことを考えている。こいつとなら仲良くなることができる、と。
私はそいつと出会えた喜び、それからそいつへの親しみを込めて頬ずりをした。予想に反し、そいつはドキリとするくらい冷たく、固く、変につるつるしている。驚いて頬を離すと、そいつもかなり驚いた顔をしていた。
一体、そいつに何があったというのだろうか。
とにかく、早く身体をあたためてやらないと……。
「みぃちゃん、よっぽど鏡が気に入ったのね。大丈夫だよ。そんなに身体をこすりつけなくても、誰もみぃちゃんから鏡をとりあげたりしないから」
みぃちゃんと呼ばれた子猫は、少しだけ鏡の虚像から身を離して飼い主を振り返る。
「ニャア」
切実な声で鳴いて、またすぐ鏡に擦り寄った。
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