2天国比率十。家に落ち着ける場所は無2

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「……うるさいっ! さっさとどいてよ!」  ――大泣きだった!  瞳から輝く雫をこぼす。  唾が散る。  慌てて横にずれ、道を譲ってあげると、神撫さんは僕を見て、次に道人を向き、また僕を見ると、さらに雫の量を増やし、顔をくしゃっと歪めると、走り去ってしまった。  僕の腕に、彼女の肩がぶつかる。  なんだったんだろう……腕に残った感触が、妙にやわらかい。 「まあ、気にするな。どうだ昼食で――」  そのとき、道人のケータイが震えた。 「またか……」  ディスプレイを見る彼の表情は、とても暗い。  どうしたんだろう。そう首をかしげていると、彼はケータイをしまい、僕のほうをちらりと見る。 「すまんが……」  申し訳なさそうに眉を寄せる。1人で帰ってくれと言うことなんだろう。 「いいよ、用事、終わったら連絡してよ。ガストで時間潰すし」 「すまない」  もう一度僕に詫びを入れ、教室を飛び出す。  こうして僕は1人ため息をつくのだった。  腕の感触が忘れられない。
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