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そして阿久間緋色は――
キスしそうなほどその整った顔を近づけて。
夕焼け色の瞳を妖しく、美しく煌めかせながら。
「私に殺されなさい」
真剣かつ大胆に、そうおっしゃったのでした。
「……はい?」
幻聴であってほしい。そんな願いなど叶わないことを、周りの痛いくらいの視線とどよめきから悟った。
こうして。
童顔でアブない発言をした嵐のような転校生・阿久間緋色と、憐れな村崎昌國の噂は、ホームルームが終わる頃にはとっくに校内を駆け巡っていたのだった。ネット社会って怖い。
(とりあえず、俺の平凡な日常を返してくれ……!)
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