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「有能な人材……僕がですか?」
ティアは怪訝な顔で聞き返す。
「……」
ボルトは目をつむり、終始黙ったあと、片手を前に出した。
すると、何もない空間から分厚い古びた革張りの本が現れ、それを掴んだ。
表紙には何やら文字が書かれているが、読んだことのない文字で分からない。
「とぼけたって無駄だぞ、ティア・リバイバル。
お前の情報は把握している」
本に手をかざすと勝手にぱらぱらと開き始め、「Tear Revival」と書かれたページでぴたりと止まり、持ち上げるとそれを少年に見せた。
「再生能力、及び蘇生能力。それから、地を操れると書いてあるが、異論は無いな?」
少年は少したじろいだあと、こくりと頷くと視線を落とし話し始めた。
「さすが、世界を守護する幻綜院に勤務している人は情報収集も早いですね。
僕の能力は完全に隠して生活していたはずなのですが……」
「……いや、情報収集はしていないんだが、差出人不明の奴からお前の情報を頂いてな。
外見の情報もあったんだが、性別だけが書かれていない。
華奢と書いていたから私はてっきり女かと思っていたぞ」
そう話すと本を閉じたかと思えば、また空間からそれは消えてしまった。
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