天変地異

8/11
前へ
/105ページ
次へ
「有能な人材……僕がですか?」 ティアは怪訝な顔で聞き返す。 「……」 ボルトは目をつむり、終始黙ったあと、片手を前に出した。 すると、何もない空間から分厚い古びた革張りの本が現れ、それを掴んだ。 表紙には何やら文字が書かれているが、読んだことのない文字で分からない。 「とぼけたって無駄だぞ、ティア・リバイバル。 お前の情報は把握している」 本に手をかざすと勝手にぱらぱらと開き始め、「Tear Revival」と書かれたページでぴたりと止まり、持ち上げるとそれを少年に見せた。 「再生能力、及び蘇生能力。それから、地を操れると書いてあるが、異論は無いな?」 少年は少したじろいだあと、こくりと頷くと視線を落とし話し始めた。 「さすが、世界を守護する幻綜院に勤務している人は情報収集も早いですね。 僕の能力は完全に隠して生活していたはずなのですが……」 「……いや、情報収集はしていないんだが、差出人不明の奴からお前の情報を頂いてな。 外見の情報もあったんだが、性別だけが書かれていない。 華奢と書いていたから私はてっきり女かと思っていたぞ」 そう話すと本を閉じたかと思えば、また空間からそれは消えてしまった。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加