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「本当にこっちで合ってるの?」
林の中の一本道を歩く少年が困ったような顔で地図を凝視しながら言う。
背丈はそれほど無く、むしろ小さいと言ってもいいだろう。
年齢は13歳くらいと言ったところだろうか。
華奢な体つきで、その細い足がチラリと見えるダボダボのサルエルパンツに薄汚れた紺色のダッフルコートを着ている。
地図から顔を上げ、道を確認するように辺りを見回すその両目は、紅色と瑠璃色のオッドアイだ。
困った顔で銀色の髪を掻き分けながら、再度地図に目をやる。
「ルビィの言うことが聞けないのか?
大体、ティアが地図を読めないことが悪いのだ」
自分の事をルビィと言った少女は幼い顔にも関わらず、やけに辛辣な口調でとても子供とは思えない落ち着いている様子だ。
年齢は7歳程度であろう。
赤い宝石のような瞳は、どこか叡智の人物を思わせた。
白金色の長い髪を赤いリボンでゆったりと1つに結び、細やかな刺繍が施された、どこかの民族衣装のような不思議なワンピースに身を包み、長い袖で手はすっぽりと隠れている。
ティアと呼ばれた少年は少女の言葉に反応し、肩をすくめて呆れた様子で彼女を見る。
「言うことを聞くも何も、全部ルビィの勘じゃないかぁ」
「……どちらも地図を読めないなら勘でいくしかないのだ」
「うぅっ……」
最もな正論を言われたティアは低く呻いた。
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