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馬車から厳かに降りてきたその女性は、黄金色の長髪を1つに束ねていた。
貴族の類いでドレスでも着ているのだろうと思ったが、違うようだ。
革製の黒いジャケットにショートパンツ、それから膝上までのロングブーツという意外な格好であった。
ジャケットの左胸には銀色の紋章が描かれている。
雪も気にせずこちらへ向かい歩いてくるなり腕を組み、その長身が2人の目の前に立ちはだかった。
容姿端麗な女性の威厳のある顔立ちと、その鋭い青い瞳に思わず怯む。
品定めをするかのように少年と少女を交互に見下ろすと、
「何か困っているのか?」
とだけ言って銀髪の少年を見つめた。
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