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馬車の中には、もう一人乗っていた。
赤毛の若い女性だ。
服装は金色の女性と同じ感じだが、女性らしからぬ体勢で爆睡している。
ルビィもそのうちティアに寄り掛かってすやすやと寝始めてしまった。
馬車に揺られ始めてから少し経った頃、長身の女性が沈黙を破った。
「私はボルト・ライトだ」
「あ、えっ、初めまして」
「こいつは、フレア・ライト。四姉妹の三女。ちなみに私は長女だ」
いきなり話し始めたものだったので焦りつつ咄嗟に挨拶をすると、同伴している赤毛の女性は姉妹だということが分かった。
似ても似つかない態度の差だ。
「あ……あの、その銀の紋章……幻綜院の方ですよね?」
「……いかにも」
恐る恐る聞くティアに、ボルトは表情を変えずに低く落ち着いた声で答えた。
「しかも、僕の名前を知っている風な……」
「……いかにも」
「何で……」
「有能な人材を見逃す訳にはいくまい」
ボルトはティアの質問を聞き終える前に答えた。
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