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まだ朦朧とし
霧の掛かった視界の先に
彼の視線を捉えた。
どうしてここに…?
きっと里沙だ…
里沙が呼んだんだ…
夢から引き戻され
徐々に現実を意識し始めるアタシを
哀しい目で見つめる目…
つかの間視線が絡み合う
みるみるアタシの目から
涙が溢れた。
肩を大きく揺らし
「うぅ~っ…」
と泣き出すアタシに看護師は
「子供さん心配するから泣かないで
お母さんなんだから…
点滴もう少しだからね」
と言い残し、その場を去った。
「お兄ちゃん、りーちゃん…
ママ…ごめんね
ホントにごめんね…
大丈夫だからね」
拓也は涙を堪えるように
無言で目をしばたかせている。
里沙は思いの他冷静で
側にあった椅子に腰かけると
「ママ、大丈夫?」
顔を近付け言った。
あぁ・・・・・
こんな姿を見せるとは
なんて親なんだろう…
またドッと涙が溢れて
アタシは言葉にならない声を上げた。
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