謎の転校生

4/4
前へ
/62ページ
次へ
体育館には全校生徒がギュウギュウ詰めになっていた。今回の全校集会の目的は、どうやら新任の教師を全校生徒に紹介するためのものらしかった。が、秋風吹きすさぶこの時期に新任の教師…?まさかそんな…。 ルミナちゃんは早くも不良達のセクハラの的になるかと思われたが、そんなことは無かったようだ。ちなみにうちの高校の不良はみんなリーゼントかオールバックにして、短ラン、長ラン、ボンタンを身につけた姿が散見される形となっている。2010年の現在、とても希少価値である。 「え~、では全校集会を始めます」 教頭が仕切り出した。こいつは教頭のくせに身長190cmを超えるかと思われる長身を誇るため、裏ではエンパイアステートビルと呼ばれている。 そして校長が登壇した。 「え~本日はですね、え~新任の教師の方を迎えたということでですね、え~皆様にご紹介をですね、え~賜りたいと思います。はい」 こいつにあだ名は無い。 「え~では、新任のクドウ先生、どうぞ!」 新任の教師がスッと姿を現した。 俺は驚愕した! なぜなら、そいつは…そいつは… 今朝俺の部屋の窓をブチ破って俺のすみれ姉ちゃんを俺から奪ったクソ野郎、そして奇跡のワイルドチャイルドを持つ松田優作似の男だったからだ! 白のスーツに身を包み、胸にはバラを差している。どういうつもりだこいつ…。 「えー、ただいまご紹介に預かりました、クドウユウサクと申します。全校生徒の皆さん、よろしくお願い致します」 クドウはぺこりと一礼した。 俺は今朝の怒りが蘇り、わなわなと身震いが止まらなくなった…。 ーーー 「ねえ、新任のクドウユウサク先生ってひょっとして佐藤君が今朝言ってた人?」 全校集会から戻ってくる途中の廊下で、翔太が俺に聞いてきた。さすが、勘の良さがハンパない! 「ああそうだぜ!あの野郎…ブチ殺してやる…!」 「あの野郎にブチ込んでやるだって?さっすがゲイのショウだな!ははははは!」 ゴン太が爆笑しながら割り込んできた。つくづくバカな野郎だ。こいつもブチ殺してやろうか。 「やめなよ須藤くん。あの新任の先生、どうやら今朝佐藤君の部屋に現れた人みたいなんだ」 「何っ!?マグナムサイズのアレを持ったやつか?」 「そうだぜ…しかもあの野郎、すみれ姉ちゃんに手を出しやがった…」 「な…なん…だと…?」 ゴン太は凍り付いた。ゴン太はすみれ姉ちゃんが好きなのだ。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加