0人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうか。じゃあ佐藤、流美崎に教科書を見せてやれ」
優作の突然の言葉に俺は我を失った。
まじかよ!
マンモスラッキー!
かくして俺はルミナちゃんと机をくっつけることが出来た。そして綺麗好きの俺の教科書は新品のようにピカピカなのだ。保健の教科書だからって、どこぞのゴン太みたいに性器の落書きをするようなこともしてない。完璧だ!
しかし同時に、不良達とゴン太から凄まじい殺気が感じられてきた。明らかに俺に向けられている。こええ!
すると、教室の後ろ扉がガラッと開いた。
そこから入って来たのは、ワックスでツンツンに立ったピンク色の髪が一際目立つ、目つきの悪い男だった。ガムをくちゃくちゃ噛んで、長ランに身を包んでいる。制服のズボンにはチェーンがチャラチャラついている。
全く見たことの無い生徒だ。酔っ払いか…?
「…誰だテメー?」
リーゼントの突き出た短ランの不良がつかつかと謎の男に歩みよって言い放った。顔にスゴみを効かせている。
謎の男はくちゃくちゃとガムを噛みながら、不良を逆に物凄い目つきで睨み返した。マジでスゴい目つきだ。ぱねぇ!
睨み返された不良はすごすごと引き下がった。弱い。
そして謎の男はつかつかと教室を歩き出した。優作は黙って見ている。何かしろよ。
すると、男はあろうことか俺の方を向き出した。
「てめえええええ!!俺のルミナに何してんだあああああオラアアア!」
響き渡る怒号。
そして襟首を掴まれ、引きずり立たされた。
「ひっ…ひいいいい!」
思わず金玉縮こまる。
「何か言えやコラアアアア!」
ボカッ!
殴られた。ジャイアンに殴られるのび太みたいに殴られた。俺は後ろの翔太の席にガラガラと崩れ落ちた。
ガラガラ!
「ひいいいい!」
ビビる翔太。
しかし俺はもっとビビってる!
「やめてリカ!」
あ、ルミナちゃんの声だ。ちょっとタイミング遅い…。
ん!?リカ?
「やめろ、そこまでだ」
優作の声だ。遅すぎだよっ!
「んだコラアアアア!!」
ルミナちゃんにリカと呼ばれたこの男(?)は、優作にも掴みかかった。そして必死に揺さぶるも、ガタイの良い優作はビクともしない。
優作は片手で軽くリカと呼ばれた男をつまみ上げると、ひょいっとぶん投げた。
男は生徒達の机にガラガラと突っ込んだ。悲鳴が数々起きて教室中に響き渡った。
最初のコメントを投稿しよう!