0人が本棚に入れています
本棚に追加
朝の食卓には味噌汁に焼いた鮭の切り身、そしてトマトとキャベツをふんだんに使ったサラダとウィンナーが並べられていた。
鼻歌まじりにお椀にご飯をよそうすみれ姉ちゃん。
テーブルで配膳を待つ俺。そして…
さっきの松〇優作似の男!
ちゃっかりズボンを借りやがったこいつ、ちゃっかり食卓に座り込んでいるではないか!
しかし…アレの長さ対決で見事に敗北している俺には何も口出しすることができねえ…。悔しいことに、この男の長さは常軌を逸している…!平常時が俺の戦闘時なのだ!俺戦闘したこと無いけど!
「はい、どーぞ♪」
姉ちゃんが先に男にご飯と箸を渡した。
くっ…これがルーザードッグの掟か…。俺は悔しさを顔に滲ませながらも配膳を待っていた。
すると、
「しょうきちは自分でやってね♪」
な…何だと…!?
俺は絶望した。これが世界…弱肉強食の世界…。これが勝者と敗者の違い…自然界の掟…。
自分でご飯をよそった俺は、ひどく狼狽しながらカチャカチャと食事をとった。
「ごめんなさいね、うちのしょうきちが…」
「いえいえ、とんでもありません。突然現れた私が悪いのです。彼を驚かせてしまった。…ところでこのご飯、とても美味しゅうございます。」
「あらっ、やーだもうッ!うふふ♪」
そう言って男の肩をバシッと叩くすみれ姉ちゃん。
ブッ殺してえ…!
俺は何だか、プルプルしてきた。あまりにもムカついてきたので朝食を早々に切り上げて、学校へと向かうことにした。
「しょうきち、もういいの?」
「…ああ」
そして玄関を開けた。バタンと言う音を背に、鞄を肩に掛けながら学校へと向かう。
我ながら、この時ほどこの背中に哀愁が漂っていたことはあるまいて…。
最初のコメントを投稿しよう!