第1話【…幼なじみか。】

6/6
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
……………。 幼なじみ………。 赤杉が連れ去られるのを まじまじと見つめながら、 僕は心の中で呟いた。 「幼なじみと言えば、 恋愛小説の定番中の定番………。 赤杉のやろー………!」 僕のすぐとなりに、 玄治が一歩歩み寄ってくる。 「なんだお前、 まだ南瀬のこと 好きだったのか?」 な、何言ってんだお前………! 何で………!? 「ははーん、 その顔は図星だろ? やっぱりな。 そっかー、南瀬かー」 「ば、バカ!何言ってやがる! ぼ、僕はあいつとまともに 話しすらしたことが………」 「そこがあやしいと 思ってたんだよ。 お前の緊張してる姿は 一発でわかるからな。 んじゃ、頑張れよ」 玄治が遠退いていく。 「だ、だから………! 誤解だって! 僕は別に………って、 話しを聞け!待てよ玄治!」 僕の言葉などまるっきり 無視して、 玄治は立ち去っていった。 チャイムがなる。 二限目。 確か、二、三年生の先輩達との 対面式だったはずだ。 みんなが順に教室に 入っていく。 妙にざわついた廊下に 一通り眼を通し、 僕は自分の教室を目指した。 …………幼なじみか。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!