いちばん!

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  「ほら、どうしたんだよ『鎖球の忠犬』さん? 大口を叩いてた割には大した事ないじゃないか」  フォーレスの神経を逆撫でしつつ、しかし絶妙な距離を取りながら小刻みに跳ねるキルバ。 (いい加減にしろよ……!)  流石に苛立ちが募り、フォーレスは若干本気でキルバを相手取ろうと思った。 「だが……時間切れだ」  突如キルバは不敵に笑い、右足を軽く持ち上げる。  そして、勢いよく地面を踏みつけた瞬間  フォーレスの目の前が、真っ赤になった。 「なっ、ぁああ!?」  なんの前触れも無しに地面から噴き出した炎。それを全力で後方に飛び退く事で回避し、裏路地をゴロゴロと転がるフォーレス。 「まっず……!」  こんな無防備な体制で転がっては危険極まりない。そう考えて、無理矢理に体を起こして前方を見据えて。 「……あ、れ?」  目の前にあるのは徐々に勢いを失っていく炎だけで、キルバの姿は無かった。 「逃げられたーー!!」  仔狼の叫びが、街中に響き渡る。  鳴動する空気に乗って、その音は雲にまで届いた。   ――――――  
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