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「……まったく。何が“俺らの恐ろしさを教えてやるぜ”だよ。銃もまともに使えないくせに何を言ってんだか」
街の中心近くに佇む少年。
その足下には、角を折られた牛獣人が伸びていた。
「銃弾をよけて顔面を殴っただけなのに、他のみんなは散り散りになって逃げちゃうし。つまんないの」
如何にも興味なさそうに足下を一瞥すると、少年は街の外に向かって歩き出した。
「……ん?」
極々小さく、しかし此方に向かって確実に向かってくる羽音。それがすぐ側まで近づくと同時に、右肩に若干重みを感じる。
「あ、なんだキミか。ターゲットの様子はどうだった?」
少年の肩には一羽の小鳥。それに語りかけながら、少年は微小な囀りに耳を傾けた。
「ふぅん。あの街から動く様子は見られない、ね。ありがとう。お仕事ご苦労様」
マントの中から一粒の黄桃を取り出して小鳥にくわえさせる。すると、小鳥は嬉しそうな鳴き声を響かせながら空へと羽ばたいた。
「ふふふ、順調順調。このままいけば、割と早い段階で仕事を終わせそうだね」
マントの中に隠れていた両腕を晒して大きく伸びをする。そのせいで、大きくはだけたマントの間からは少年の体が丸見えになる。
その体には長い鎖がぐるぐる巻きにされていて、その各所にはそれぞれ異なる色をした球が繋がれていた。
「それじゃ、そろそろ連鎖させに行きますか」
鎖と鎖の擦れ合う音を纏いながら、一匹の仔狼が地を蹴る。
不敵な笑みを浮かべ、雄大な旋律を口ずさみながら――
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