久しぶりの対面は感動するとは限らない。

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「…ここは…えっと…?」 懐かしい匂いがした。 体中から何かが込み上げる。 ふと空を見上げた。 込み上げてきた何かを抑える為にした行動が…私に真実を教えてくれた。 真っ青な空には異界の船が飛び交っている。 そこら辺に立派に建っている民家とは不似合いに、気味の悪い生物が人間に混じり二足歩行で歩いていた。 知っている。 私はここが何処なのか知っていた。 地面にペタリと座り込んだ私を少し不審な目で見詰める人々だが、一切私に話しかけてこなかった。 妥当だろう。 弓矢を持った奇妙な少女と関わろうなんて誰も思わない。 何か不幸なことがついてくるに違いない。 私は唖然としたまま掌を見詰めた。 生きている…。 私はこの世界でも…生きている。
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