ショックから立ち直るのには時間がかかる。

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「ちょっっ!?何すんのあんたッッ!!」 「……………。」 「どうしてくれんのッッ!?つか、ちゃんと払いなさいよッッ!!いくらしたと思って…。」 「しねばいいのに…。」 「はぁ?」 「死ねっつってんだよ!! ハゲッッ!!! 大体なんで落ちた人間の隣ではしゃいでんだよ!!! うぜぇんだよッッ!! つか、なんで頭ふさふさなんだよっっ!! お前みたいな人間の頭は普通ハゲてんだよッッ!! アデランスか!? アデランスなのか!?」 「アデランスじゃねーよ!! 地毛だッッ!! 勝手に人をハゲさせんなッッ!! 大体アンタのほうがハゲる人間じゃないのッッ!?」 「ハゲるわ!!ストレスでごっそりッッ!! どんだけ毛がなくなったと思ってんだ!! 風呂入れば排水溝が毛で詰まるしよォォォオ!!! 髪の毛返してくれよぃぃぃ!!」 怒りに任せて真っ二つに割った携帯をさらに足で踏みつける。 もちろんその騒ぎを嗅ぎつけ、野次馬が集まってきた。 「わかったっっ!! わかったからっっ!! アンタがハゲて苦しんでるのはわかったからっっっ!! 携帯壊さないでっっ!! マジで!!」 「マジで!? わかってくれんの!? ハゲの苦しみ!? アンタ良い奴だよ!! さっきまでムカつく奴と思ってたけどよぉぉぉ!!!」 「だからぁああ!!! その足止めてぇえええ!! 携帯がぁああああ!!!!」 「マジでありえねぇよな!? 髪の毛の抜ける量!!! 死ぬよな!?なぁ!?」 私は必死に嘆きながらガシガシと携帯を踏みつけるのを止めない。 何故なら小気味の良い音がするからだ。 だが、流石に周囲の人々が私を止めようと割って入ってきそうなので、 入ってくる前に踏みつけるのを止めて、生き残ったSDカードを拾い上げた。 「もう弁償しなくていいから!! SDカードだけは!!」 「SDでハゲろ!? まだハゲろって言うのか!? これ以上ハゲたらショック死してしまうわぁぁああ!!」 「ちげーよ!!SDカード返せっつったんだよ!!誰もハゲろなんぞ言ってねーよ!!」 「今言っだろ!?完全に言っただろ!?」 「だから!!今のは例えで…ハゲろなんて言ってねーって…。」 「言ってんじゃねーか!! 今聞きました!! 完全に聞きました!! そこの兄ちゃん!! 聞いたよな!?」
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