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夕方。部屋に戻った俺は制服から私服に着替えるとすぐに寮を出て学園の街中にあるギルドへと向かった。その建物は校舎から南へと伸びる大通りを歩いていくと正面にあり、その存在を示している。
建物は学園の寮並みに大きく、少し古く良い雰囲気を出している。そのギルドの入り口の上にはでかでかと"ギルド本部"と書かれていた。そう各国に存在するギルドの本部は、ここクイスハイネス王国に存在しているのだ。理由は魔物達が多く生息している魔界を除く、この世界でクイスハイネス王国は中心に位置するからである。
俺はそのギルド本部へと躊躇なく足を踏み入れる。本部の中は体育館程の広さを持ち、中心に依頼受付所があり、その周りには机や椅子が置かれ雑談や食事が出来るスペースがある。この中には教師や学生なども多く見られるが、俺の目的とした場所ではない。
何故なら、ここは最下層のGランクの依頼受付所だからだ。ギルドは階を上がる毎に依頼のランクが上がる。それは自分の今のランクがどこにあるか再度認識させるためである。下の者は早く上に行けるように努力し、上の者は任務失敗などをすればランク降格などあるため仕事に責任感を持ち取り組む。
そんな風な仕組みになっているのだ。
俺は止まることなく、転移魔法陣のある奥へと向かう。
「おい。生徒会長だ」
「いいよな。強くて頭良くて、その上外見も格好いいときたら、もう俺達に勝ち目ねぇよな」
「しかも、弱き者に優しく、強き者には厳しくだぜ?まるで、No.4の"混沌"様みたいな人だよな」
「いや、生徒会長がもしかしたら"混沌"様かもよ?」
「おいおい。それはねぇよ。そんなだったら、生徒会長は過労死しちまう」
「そうだよな。"混沌"様は毎日魔物の討伐をしていると言うし、会長は無遅刻無欠席無早退で最優秀生徒。普通に考えたら無理だな」
「だろ?」
俺はそんな会話をされていることに全く気付かず、ギルド一階の奥にあるドアを開け通る。そして、入口から10mの所の壁を押すと壁は回転し、転移魔法陣が奥に現れる。俺はその転移魔法陣に乗り、すぐさま転移した。
転移先は最上階。俺は転移した後に数歩歩き、大きなドアをノックする。そのドアの上には"ギルドマスター"という金の名札が付けられている。
「登録No.31904。ロイハルド=ルーズベルト。ナンバーズNo.4。二つ名は"混沌"」
『入っていいぞ』
許可が出たので俺はドアを開けた。
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