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緊急会議が終わり、学園の寮へ帰るため、俺は街の大通りを歩いていた。先の事を思い出し、不安と学園の生徒達への罪悪感がこみ上げてくる。
「はぁ…」
もう数十回はしたであろう溜め息。
俺は空を見上げ、先の会議の事を思い出した。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「なんで俺が学園なんかに通わなくちゃいけねぇんだよ!!」
そう言って、紅蓮は机を強く叩きつけ、苛立ちを露わにする。そのせいで机が凹んでいるが…
「あなたは16歳!!普通なら学園に通わなくちゃいけない歳よ!?」
「行く必要がねぇって言ってんだろ!?学ぶ事がねぇんだからよ!!」
「あなたにも普通の生活を送らせてあげたいのよ…母親として……」
そう言ってナツメさんの目が潤む。
あっ、皆さん。
この台詞はナツメさんがかなり前から考えて、使うタイミングを伺っていた台詞です。今回使いやがりました。
「母さん…わかったよ。学園に通うよ」
案の定、馬鹿の紅蓮は引っ掛かりました。馬鹿です。
「ありがとう。あなたにはこの国のクイスハイネス国立魔法学園に通って貰うわ」
それを聞いて凍鷹が立ち上がり、発言する。
「待って下さい!!紅蓮がこの国に来たら、ゴーム国は誰が担当するのですか!?」
俺はそれに便乗する。
「俺も反対です。力は均等に配置されている筈です。それを崩してまで、この国の魔法学園に通わせる意味はあるのでしょうか?」
「ゴーム国立魔法学園の学園長とは私仲良くないのよ。だから、この国の魔法学園の学園長に頼んだの。あと凍鷹、今日からゴーム国に配置します」
凍鷹はショックで、椅子に力尽きるように座り込んでしまった。
「紅蓮の付き添い人は誰か付くのですか?」
「ギルドランクSのレイン=ドートに付き添って貰います」
「はいはーい!!私も紅蓮と一緒に通いたーい!!」
水蓮、お前は黙ってろ!!
「水蓮、悪いわね。其処までは私手を回せなかったのよ」
水蓮はそれを聞いて、ガックリとうなだれる。
「あなたは…いえ、この話は後で話します」
俺は言いかけて止めた。
これを言えば、紅蓮はまた攻撃を開始するから。
「そう。なら解散ね。自分の配置された国に戻っていいわよ」
ナンバーズはそれぞれ立ち上がり、会議室を出て行く。俺は未だにショックで目の焦点が合っていない凍鷹へと近付いた。
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