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今こうして君といるのは、
偶然なんかじゃなくて――――
「きれー…。」
視界いっぱいに広がる、小さな星たち。
星が見たいという君からのリクエスト。
ちょっとドライブして、見晴らしが良いとこまで。
君と見るのは今日が初めて。
「亮ちゃんのほうが綺麗…」
そう言えば、頬を赤くしながらも嬉しそうな顔をしてくれる。
子供みたいに楽しそうな顔をするから、夜空を見るフリして君の横顔を見つめてた。
「「あっ!」」
一瞬だけ輝きを増して流れた。
声が重なったから、同じものを見れたかな。
寄り添っていても、さすがに真冬の夜には勝てない。
「寒い?」
と聞けば、
「…寒い」
と当たり前の答えが返ってきた。
「もう帰る?」
「や、寒いけどまだ見てたい」
なんて可愛い我が儘を言うから、車に戻り、シートを倒して二人で毛布に包まって。
それからも、いくつか落ちていく星を見ることができた。
いつのまにか寝てしまって、目が覚めたのは、新たな日を告げる眩しい光。
隣で眠っている君に声をかけると、
「…ん、…おーくら…」
まだ寝ぼけているのか、さらに寄り添ってくる。
額に一つキスを落とせば、はにかんだ笑顔を見せてくれた。
こんなに愛しいと思えたのは君が初めて。
同じ道を歩むと決めたときから、何があっても君を守る、君だけは絶対に離さない、そう決めたんだ。
喜びも悲しみも、二人ならどんなものでも受け止められるから。
君の笑顔は、これからもずっと、
僕の心に刻まれていくだろう。
今こうして君といるのは、
偶然なんかじゃない。
出会うための道を、一歩ずつ、
たどり続けてきたから。
END
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