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ザザザザザッ!! ウサギが一斉に住家を移動する。 草が体にかすれる音。 遠くで森林を伐採していく音ー・・・。 様々に響く。 とにかく逃げなければならない。 この群れの頭、羅を中心に山を駆け上がっていった。 『羅ストップ!』 この鳴き声は沙。 羅の彼女。 この群れの二番目に知位が高い・・・。『皆、静かに!』 群れはし・・・んと静まりかえった。 ガサッ・・・、ガサガサ・・・。 皆、草に隠れて息を呑む。 その音は次第に近づいてくる。 群れの皆、体を寄せ合う。 中には震えているものもいた。 ガサ・・・。 はぐれ鹿だ。 はぐれ鹿は群れについていけなかった鹿。 つまり、取り残された鹿ということ。 悲しげな瞳をしていた。 少し周りを見渡すと再び草むらの奥に姿を消した・・・。
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