相沢先生

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それは、大学に入ってから暫く経った頃の事だった。 学校生活にも慣れてきて、講義のない時間は学内に設備されているカフェでコーヒーを飲むのが日課になっていた。 そんなある日。 「葉山君、ちょっといいかな?次、講義あったりする?」 コーヒーを飲んでいると、相沢先生が声をかけてきた。 「いえ、大丈夫です。何かあったんですか?」 「うん…そんな大した事じゃないんだけどね。実は……」 普段とは違う彼女の様子に、僕は何かを察した。静かに次の言葉を待つ。 「私、ストーカーに遭ってるみたいなの……」 『ストーカー』 その言葉にゆっくり息をのむ。今までニュースやドラマで何度も耳にしていた言葉だが、実際に身近な人が被害に遭うというのは初めてだ。
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