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「ちょっとそこのお兄さん、花火は好きかい?」 真昼。春と夏の中間的な陽気の中、中庭のベンチでうとうとしてる生徒Aに彼女は声をかけた。 「…はぁ?」 「うん?いや、だから花火」 肩まで伸ばした髪を揺らし、彼女はにこっと笑い、ぽかんとした生徒Aにまたもや問いかける。 「いや、意味不明、ですけど。っつーか眠いんで放っといて」 睡眠妨害と理解不能な発言にイラつきながら生徒Aはまたうとうととベンチにもたれる。うん、しごく「普通」の反応だ。 「みな、やっぱり違う時間帯にしよう。人の休み時間は邪魔しちゃいけないよ」 僕が無駄な提案をする。彼女、[みな]は僕の方を向き、「うん」と笑顔で頷いた。そして光の速さで生徒Aにまた近づいた。 「それで生徒A、君は花火好きかい?嫌いかい?」 …あぁ、本当に無駄な提案だったな。 「…っせぇな!」 生徒Aが目を見開いた。と、怒りに任せてみなに向かって手を伸ばす。
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