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梨華は助けを求めまわりを見渡すが、その場に腰を抜かしている人、我先と逃げる人ばかりだ。
化け物は口を動かしながら梨華を見ている。
パン!
一発の銃声が鳴り響いた瞬間、警察官が化け物を包囲し、続けざまに化け物に銃弾を撃ち込む。
「君!立てるか!?」
若い警察官が梨華に駆け寄ると、素早く梨華を抱き上げ現場を離れようとする。
しかし、目の前には化け物と同じ姿で、人間の子供と同じ位の大きさをした化け物が彼を見ていた。
「佐藤!突っ切れ!!援護する!!!」
化け物を取り囲んでいた警察官の一人が、小型の化け物に発砲し注意をひいてくれた。
佐藤は梨華を抱いたまま駅の出口へ走り出した。
後ろからは佐藤を援護してくれた警察官の叫び声が聞こえていた。
佐藤はそれでも振り向かずに、ひたすら出口にむかった。
駅前には恐怖に怯える群集がいた。混乱した人混みのなか、救助隊を探し梨華を預けようとした。
しかし、救助隊どころか救急車すら見つからない。しかたないので、佐藤はひとまず梨華に外傷がないか確認し駅前の交番へとむかった。
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