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真美に電話を入れた。
『後、5分で下に着くけど。』
『じゃあ、下に下りるね。』
真美の住む所は、市営のマンモス団地の一画だった。
俺は、真美の住む団地の棟の前に到着すると、公道の脇に車を寄せてハザードを点滅させながら真美を待った。
しばらくすると、子供の手を引きながら真美がこちらに向かって、手を振りながらやって来た。
『ごめんね~。健ちゃん!この子が服を着るのぐずって、遅くなっちゃって…。』
『いいよ、そんなに待って無いし、早く車に乗りなよ。』
真美と祐樹は後ろの席に並んで乗った。
『祐樹!こんばんはは?』
『…健ちゃん…コンバンわ…。』
と、はにかみながら俺に言う。
『おお~祐樹!お利口さんにしてたか?また、大きくなったな?幼稚園は、楽しいか?』
『うん…楽しいよ…。』
『そうか…それは良かったな。今から約束してたトイザらスに行こうな!』
『やった~ッ!』
俺は、トイザらスに車を走らせた。
トイザらスに着くと、祐樹は真美の手と俺の手を引っ張り、ぐいぐいと中へ入って行った。
『健ちゃん…。ごめんね。ありがとう…。』
申し訳無さそうに真美が俺に言う。
『気にするなよ。俺の好きでやってんだから。』
『ありがとう…。』
もう一度、真美がつぶやいた。
祐樹は店内をはしゃぎながら走り回った後、レールを走る車のおもちゃの前でじっと見ている。
『この車好きか?』
『うん…。』
『だったらこれにする?』
『うん!これがイイ!』
隣で真美が
『こんな大きなレール何処に置くの?片付けも出来ないくせに…。』
と、不満げに言う。
俺は笑いながら
『遊んだ後は、ちゃんと片付けんだぞ。』
と、祐樹の頭をなぜながら言うと
『うん!約束する!』
『よしッ!わかった!これにしょう!』
俺は、店員を呼ぶと目の前のサーキットレースのおもちゃセットの購入を頼んだ。
すると店員は
『車の方は一台でイイですか?』
と聞いて来たので、祐樹に何台欲しいか尋ねると
『3台欲しい!一つは祐樹の、一つはママの、一つは健ちゃんの…。』
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